ヘブライ語の歌を聞いてみよう!ヘブライ語の楽曲紹介とかんたんな解説 〜 ガドール・エロハイ

きょうはヘブライ語の楽曲をご紹介したいと思います。


ぼくはヘブライ語の初級文法は日本で学び終えていましたが、

  1. 英語の文法用語を覚えたい!
  2. 英語が非ネイティブの学生たちに旧約学の教授(アメリカン)がどうやって英語を使ってヘブライ語を教えるか見てみたい!
  3. 将来的に旧約学を専攻したい!

という理由から、APNTS(フィリピンにあるナザレン神学院)で

ヘブライ語の初級文法のクラスを聴講しました。


今回ご紹介する曲は、ヘブライ語文法(Hebrew II)の毎回のクラスのはじまりに、

旧約聖書学の教授が流してくれた曲です。


How Great Is Our God (Hebrew ver.)


いかがでしたか?

ヘブライ語聖書を読む上で、とても基本的な単語が何度も登場し、
学生たちは単語やヘブライ語の響きを耳で覚えることが出来るので、
初級文法のクラスで歌うのにとてもぴったりな曲だとぼくは思いました。

ヘブライ語を教える機会があったら、是非教材のひとつとして活用してみたい一曲です。

ヘブライ語の歌詞を解説

せっかくですので、ヘブライ語の歌詞をかんたんに解説します。

① גדול  אלוהי(ガドール エロハイ)

ガードルは「偉大な」という意味の形容詞。

エロハイは、神を意味するエロヒームに、
1人称をあらわす接尾人称代名詞ヨッド(י)が付いた形で、
「わたしの神」と訳せます。

英語では、"How great is our God!"と感嘆文の形を取っていますが、
ヘブライ語はよりシンプルに、
「偉大です、わたしの神は!」と表現しているんですね。

② שירו כי גדול אלוהי(シールー キー ガドール エロハイ)

シールは「歌う」という意味の動詞です。
ここでは命令形のかたちになっています。
キーは、that節を作ったり、理由を示すときに使います。

なので、キー以下の内容を「歌おう」と招いているわけですね。

「わたしの神は偉大だ、と歌おう!」と。

③ כל אחד יראה (コル エカド イルエ)

コルは「すべて」、
エカドは数字の1を意味します。
イルエは「見る」という意味の動詞(ראה ラーアー)の3人称単数の未完了形です。

「すべての人々はひとりのお方を見るでしょう」と訳せます。

クリス・トムリンは、原曲の英詩で
"and all will see"(すべての人は見るでしょう)と歌っています。
もちろん、神を見るだろうと歌っているのは、前後関係から明らかです。
でも、このヘブライ語訳は、あえてエカドを入れたことによって、
ユダヤ教の一神教的側面が出ているように思えます。

④ שם מעל כל שם (シェム メアル コル シェム)

シェムは「名前」を意味します。
メアルは前置詞 מן(mn ミン)と前置詞על(ꜥl アル)が合成したものです。
ミンは通常、分離を表す前置詞ですが、比較表現にも用いられます。
アルは「〜の上に」と位置をあらわします。

比較+「〜の上に」で、メアルを「〜にまさる」と訳せるので、
ここでは、神の名が他のすべての名に優ることが歌われています。

訳すと、「名は、すべての名に優る」です。

⑤ אותך ראוּי להלל (オートゥカー ラウイ レハレル)

オートゥカーは、目的語をつくる働きをもつאת(ʾṯ エト)に、
2人称男性形の接尾人称代名詞カフ(ך)がついた形です。
ラウイは僕の手元にあるConcise Dictionary of Classical Hebrewによれば、
ラーアー(見る)の受動分詞で、「ふさわしい」という意味を持ちます。

レハレルは、「賛美する」という意味の動詞ハレルの不定詞に、
目的や意図を表す前置詞ל(l レ)がついた形です。

「あなたを賛美するのは相応しいこと」とでも訳せるのでしょうか?
んー、もっと勉強が必要です。

⑥ ליבי ישיר כי גדול אלוהי (リビ ヤシール キ ガドール エロハイ)

リビ(lyby)は現代ヘブライ語で「私の心」という意味です。
ちなみに、聖書ヘブライ語だと、לבבי(lbby レバイ)になります。

残りの部分は、ヤシールの人称が3人称に変わる以外は、②と同じです。
そのため、「わたしの神は偉大だと、わたしの心は歌いますと訳せます。

おわりに

ガドール・エロハイの音写と歌詞の解説を掲載してみました。
ヘブライ語に興味がある方、
ヘブライ語を学んでみたい、もしくは学び直したいと思っている方、
是非ご活用ください。

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